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名古屋地方裁判所 平成9年(わ)975号 判決

主文

被告人星山興業株式会社を罰金一七〇〇万円に、被告人星山明彦こと裵 明彦を懲役一年に処する。

被告人星山明彦こと裵 明彦に対し、この裁判確定の日から三年間刑の執行を猶予する。

訴訟費用は、その二分の一ずつを各被告人に負担させる。

理由

(犯罪事実)

被告人星山興業株式会社は、肩書地に本店を置き、土木工事業等を目的とする資本金一、〇〇〇万円の会社であり、被告人星山明彦こと裵 明彦は、被告人会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人裵は、被告人会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、架空外注費を計上するなどの方法により、所得を秘匿したうえ、

第一  平成六年四月一日から平成七年三月三一日までの事業年度における被告人会社の実際の所得金額が八、四六二万二、七三三円であったにもかかわらず、同年五月三一日、名古屋市北区清水五丁目六番一六号所在の所轄名古屋北税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が八六七万一、四六五円で、これに対する法人税額が二四七万八、七〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告人会社の右事業年度における正規の法人税額三、〇九六万〇、三〇〇円と右申告税額との差額二、八四八万一、六〇〇円を免れ、

第二  平成七年四月一日から平成八年三月三一日までの事業年度における被告人会社の実際の所得金額が七、〇五五万一、五〇五円であったにもかかわらず、同年五月三一日、前記名古屋北税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が七六八万九、三一六円で、これに対する法人税額が二一一万一、五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告人会社の右事業年度における正規の法人税額二、五六五万五、二〇〇円と右申告税額との差額二、三五四万三、七〇〇円を免れた。

(証拠)

括弧内の番号は、証拠等関係カードの検察官請求番号を示す。

全部の事実につき、

1  被告人星山明彦こと裵 明彦の

(1)  公判供述

(2)  検察官調書六通(乙1ないし6)

2  星山幸江こと呉幸江、細口勝彦、平川昌基こと鄭昌基、星山一吉こと裵一吉の各検察官調書(甲23、27、37、38)

3  金城愛美こと金愛美、林文弘、朝見巌、大原康裕、森庄司、宮川健、余瀬恭一、河田明彦、塩田修二、堀尾康弘、武田建祐(二通)の各大蔵事務官質問てん末書(甲24ないし26、28ないし36)

4  李昌彦、奥田芳久の各上申書(甲11、12)

5  査察官調査書一一通(甲4、5、13ないし20、22)

6  履歴事項全部証明書(甲1)

第一の事実につき、

7  証明書(甲2)

第二の事実につき、

8  査察官調査書(甲21)

9  証明書(甲3)

(法令の適用)

罰条 法人税法一五九条一項(被告人会社については、更に同法一六四条一項。情状により同法一五九条二項を適用)

刑種の選択(被告人星山明彦こと裵明彦につき)

懲役刑

併合罪の処理 刑法四五条前段(被告人会社につき、更に同法四八条二項。被告人星山明彦こと裵明彦につき、更に同法四七条本文、一〇条。犯情の重い判示第一の罪の刑に法定の加重)

執行猶予(被告人星山明彦こと裵明彦につき)

刑法二五条一項

訴訟費用の負担 刑訴法一八一条一項本文

(量刑の理由)

本件におけるほ脱税額は合計約五、二〇〇万円もの多額にのぼるうえ、ほ脱率も、各年度とも九一パーセントを超え、甚だ高率である。

また、犯行態様は、架空の請求書や領収書を作成したり、あるいは、被告人裵の実兄らの名義を使って架空の外注費や給料を計上するなど、いかにも大胆かつ巧妙である。

しかも、犯行に及ぶに至った経緯・事情をみても、被告人会社設立の当初から架空の外注費等を計上する方法で裏金を作ってきた被告人裵は、被告人会社が平成六年に地下鉄のトンネル掘削工事等の大型工事を受注したことにより、その業績が大幅に向上したことから、更にこれまで以上の多額の裏金を蓄積しようと企てたというのであって、要するに、私利私欲にかられたものにすぎず、とくに斟酌に値するような点は全く見当たらない。

このような動機から悪質な態様で多額の脱税を図った被告人会社及び被告人裵の犯情は悪く、厳しい非難を免れない。被告人会社及び被告人裵の刑事責任は、決して軽視することができない。

ところで、弁護人は、被告人会社は今後多額の重加算税、延滞税等を支払わねばならず、これらの支払を超えて被告人らに厳罰を科す必要はない旨主張するが、これらを支払うべきことは余りにも当然であって、重加算税等を今後支払わなければならないからといって、それが被告人らに対する刑を軽減すべき合理的な理由とはなり得ないことは、改めて詳論するまでもない。

その他、弁護人がるる主張するような事情をいかに考慮しても、私利私欲にかられて、本件のごとき悪質で反社会性が顕著な悪質な犯行を犯した被告人らの刑事責任は軽くなく、主文の刑はやむを得ないところというべきである。

(裁判官 川原誠)

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